人類は如何に神々として滅びるか

『自己が無視されることを無視するという彼等の英雄主義』

Youtubeでギリシア悲劇を観る──ギリシア悲劇を読む番外編

 オレステイア三部作の「感想文」を書いてからにしようかと思っていたけど、前のほうがいいかと思い直して、Youtubeで観ることができるギリシア悲劇のご紹介。

 現代劇として演出され直したものではなく、なるべく当時のものを再現(シミュラークル)しようとしている劇映像をばみつくろってきた。だから、最低でも仮面をかぶっていないと除外対象。ここに貼ってある動画は全部英語のものだけどね。

 

『オレステイア三部作』アイスキュロス

 『アガメムノーン』

  アガメムノーンは、ホメーロスの『イーリアス』でうたわれたトロイア戦争のギリシア側における総大将である。劇にかけられるのは、トロイア戦争後、アガメムノーンが故国に帰ってからの話で、帰ってからといっても、凱旋のその日に、アガメムノーンは、いとこのアイギストスと情を通じていた妻クリュタイムネーストラーによって殺されてしまう。帰還から殺害までを描くのが『オレステイア』第一作『アガメムノーン』の内容である。コロスを成すのはアルゴスの長老たち。

 

『供養する女たち』 

  第二作でも殺人がおこなわれる。アガメムノーン殺害から8年後。故国に帰った息子オレステースが、姉エーレクトラーの助けを借りて、実父の仇である実母クリュタムネーストラーをその情夫アイギストスともども殺害する。復讐譚である。『オレステイア』とは、オレステースの物語の意味。彼が登場するのは、この第二作からである。(第一作には登場しない)タイトルの『供養する女たち(コエーポロイ)』とは、エーレクトラーと一緒に、アガメムノーンの墓へ行く女たちで、これが本作のコロスである。

 

『慈しみの女神たち』 

  第二作の最終盤で、実母を手にかけたオレステースは狂気となり、復讐の女神(エリーニュス)に取り憑かれてしまう。逃げるオレステースは、アテーナイまで逃げのび、最終的にアテーナイ市民による審判をうけて罪をゆるされる。復讐の女神は、女神アテーナーのすすめにしたがって、慈しみの女神(エウメニデス)に変わる。という、いわば縁起譚となっている。この復讐から慈愛へと性格を変える女神たちがコロスを成し、第二作同様、題名にも採用されている。単なる合唱隊にとどまらないコロスたちの活躍が見所の一つ。

 


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『オイディプス王』ソフォクレス

 あの、オイディプスである。「エディプスコンプレックス」の由来となった、知らずにとはいえ(いや知らなかったからこそ悲劇なのか)母親と姦通し、子を四人ももうけたというオイディプスである。

 ちなみに、本劇の前になるが、スフィンクスからの「朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足」という謎を解いて倒した男がオイディプスである。その功によって、(実母であると知らぬまま)イオカステーを妻にした。

 さらにちなみに言えば、オイディプスはスフィンクスを倒す前に、これもそうと知らぬまま、実父である王ラーイオスを殺している。

 ラーイオスはこれらのことを神託によってあらかじめ知っていたのだが、「呪われた子」を自ら手にはかけず、ひとに任せてしまったため、オイディプスは生きながらえ、預言は成就されてしまったのである。

 この劇映像は、オレステイアのものと比べると、再現(シミュラークル)度が低いようだ。仮面が凝っているし、舞台も当時のものとは違っている。

 

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