語り手はいつでも語り手として物語言説に介入できるのだから、どんな語りも、定義上、潜在的には一人称でおこなわれていることになる(ジェラール・ジュネット「物語のディスクール」より) 私は第一に、人称という術語そのものに対する私の留保をあらためて…
買うことにした。 春の甲子園はトーナメントが進んで残りがしぼられ、プロ野球はオープン戦がおわって開幕、メジャーは一足先にはじまってますね。そんなわけで野球です。野球はまあどうでもいいんだ。パワプロですよ。 新しく出ても2016版とそんなに変わら…
狂えるオルランド 作者: ルドヴィコアリオスト,Ludovico Ariosto,脇功 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会 発売日: 2001/08 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 11回 この商品を含むブログ (9件) を見る 欲しかった資料をうまいこと手に入れた。 安くはな…
どうでもいいちゃどうでもいいがブログはメモだから。 新潮社の「新潮日本古典集成 雨月物語 癇癖談」の雨月物語のなかに、『青頭巾』という題名で、人肉をくう鬼(のように)なってしまった僧侶の話が収録されている。 本文自体が問題ではなくて、上段にあ…
【父親が多すぎる】 普通息子は一人の父親をもつ。たいていは、その一人を殺せば満足するのである。けれども彼は業が深くて、もしくは自身を見積もりすぎているために、いくら殺しても殺してもあきたりないのだ。彼には父親が多すぎる。 【確かに非常識】 彼…
こんなことをブログに書いても意味ないが、備忘録というかメモとして残しておこうと思う。 いわゆる「森友・加計問題」なるものが問題であるとするならば、それは安倍自民の問題ではなく、メディアと国民の問題である。 おしなべて左派であるメディア(=フ…
1.われわれ大衆は「自民党にお灸をすえた」過去を間違っていたと思っていない なるほど、あのときメディアにのせられて、民主党に本気で期待したのは愚かだった。投票したのは後悔している。しかし、だからといって、自民党が良かったと思い直したわけでは…
別に「国連報告者」の件が不発に終わったっていいんです。また他の安倍になんくせつけられるネタ用意してくりゃいいんだから。そう、なんくせなんです。いちゃもんレベルです。加計にうつれば森友とかどうでもいいわけで、特定秘密保護法案が通れば言論の自…
政府のHPに「ミサイル避難方法」が載ったそうです。 正確には、内閣官房のホームページにある「国民保護ポータルサイト」に掲載された。内閣官房 国民保護ポータルサイトここにPDFで置いてある。「政府のHP」で検索かけてからたどりつくまでに数分を要…
昨日ひさしぶりにブログを更新して とか書いたけど、訂正します。 「真実」という日本語は、十人いれば十種類ありうるんだから、客観的事実というものを重んじるために、「ポスト真実」ではなく「ポスト事実」にしろとか言ったところで無意味なので、無意味…
「ポスト真実」って言葉がメディアやネット世間をふわふわ浮遊しているようです。 これは訳語だそうで、だから海外発信の言葉、概念ってことになる。 ポスト真実の政治 - Wikipedia (post-factual politics) おおよそのところは大先生でご確認下さい。 し…
登場人物 デルポイなるアポロンの社の巫女 アポロン神 ヘルメス神 オレステース 故アガメムノーン王の息子、母クリュタイメーストラーを殺し、狂って諸国を流浪する。 クリュタイメーストラーの亡霊 復讐の女神エリーニュス(後に「慈(めぐ)みの女神」と変…
登場人物 オレステース アルゴス王亡アガメムノーンの息子。 ピュラデース オレステースの従兄で親友。 合唱隊(コロス) 王妃に仕える侍女たちから成る。 エーレクトラー アガメムノーンの娘でオレステースの姉。 従僕 王妃の召使。 クリュタイメーストラー…
繰り言を書くのは、あまり生産的ではないけれど、まあブログってものはそういうものも受け入れうる雑記帳でもあるだろうから、特別今思いついたというわけではないにしろ、とにかく今自分が思っていることを備忘録として書きつけておこうと思う。 はてなブロ…
偏見を攻撃する言葉が往々にして偏見に満ちているのは、たとえどのような彼、彼女であっても、考えられうる限り完璧な人間でも、それが神であっても、完全に偏見からのがれることなど不可能だからである。 可能であるとすれば何も考えないことである。頭に浮…
太宰の小説をまとめ記事にして目論見はずれてあんまりアクセスが稼げなかったおりに(『人間失格』だけじゃない!太宰治ならこれを読め──『晩年』とその他いくつか )『津軽」についてもエピソードを紹介しようと思っていたけど、文量が多すぎたので、断念し…
テキストは引き続き人文書院ギリシア悲劇全集 第1巻 アイスキュロス篇より。訳者は呉茂一。 登場人物と前置き 物見の男 コロス アルゴスの長老(おとな)たちより成る。 報せの使い クリュタイメーストラー アルゴスの王妃。 タルテュビオス 伝令使。 アガメ…
オレステイア三部作を、乱暴でおおざっぱに簡約してしまうと、このようなまとめになりかねない。第一部では、悪妻による不倫と夫殺し、第二部では、息子による母殺しという復讐、第三部では、母殺しという罪の赦し。しかし、ギリシア悲劇はギリシア神話から…
はじめに(いつも通り読み飛ばし可) 一人の読者として、一人の作家の小説を読むとき、その作家が書いたどの小説をはじめに読んだかということで、作家に対するイメージの多くが決定されがちである。多分。中には、その一作だけで「さよなら」してしまう読書…
オレステイア三部作の「感想文」を書いてからにしようかと思っていたけど、前のほうがいいかと思い直して、Youtubeで観ることができるギリシア悲劇のご紹介。 現代劇として演出され直したものではなく、なるべく当時のものを再現(シミュラークル)しようと…
登場人物および前置き 訳者は久保正彰氏。 「ギリシア悲劇を読む」と題してブログ記事を書き殴るこのシリーズにおいて、われわれがテキストに選んだ、人文書院のギリシア悲劇全集 第1巻 アイスキュロス篇の二作目におさめされているのは、『ペルシアの人々』…
ぼくは理屈っぽい。世の中には、ぼくより理屈っぽい人間もある程度いるのかもしれない、いることだろう。そうであっても、ぼくは結構、理屈っぽい部類に入ると思う。相当。かなり。かなり相当。ぼくは理屈っぽい。 しかし、理屈っぽい人間は嫌われる。 たと…
を踏まえて、いよいよギリシア悲劇を読む。例によって、人文書院のギリシア悲劇全集 第1巻 アイスキュロス篇から、登場人物を書き写してみよう。 ・登場人物 権力(クラトス)と暴力(ビアー) 擬人化された神格、世界の主神たるゼウスの部下(但し後者は無…
アメリカ大統領選の予想を的中させて、木村太郎が株をあげている。 大穴だ。2分の1の確率だが、トランプ勝利を予想した予想家はほとんどいなかったのだから、倍率はかなり開いていた。一人勝ちである。 木村太郎氏は、予備選の段階から独自の取材と分析に…
日本国内でこれまで報道されてきた「トランプ旋風」の中身と要因は、「強いアメリカ、偉大なアメリカを取り戻す」というスローガンと、既存の政治、政治家への失望と怒りといったものばかりだった。 しかし、選挙直前の当選予想と、選挙結果の乖離からみて、…
「ぎりしあへ行きたしと思へど ぎりしあはあまりに遠し せめては古い巻をくりて きままなる読書の旅にいでてみん」 というわけで、本当にはギリシアにさほど行きたいとも思っていないけれども、悲劇と喜劇をもう一度読み直して、ブログ更新のかたがた記録を…
ジェラール・ジュネットの提唱した用語に、異質物語世界と等質物語世界というのと、物語世界内と物語世界外というのがあってややこしい。 異質物語世界の物語言説とは、語り手が自分の語る物語内容に登場しない場合 等質物語世界の物語言説とは、語り手が自…
0.前置き(読み飛ばし可) よくそれなりに名前を知られた小説家や、業界に名前を売った批評家、評論家が小銭稼ぎに、「小説家のなり方」とか「書き方教則」本のようなものを出すが、はっきり言ってああいうのは、ほぼすべて買ってはいけない。 なぜなら、…
週刊文春がまたやった。三代目なんとか、とかいうまあエグザイルから派生したようなグループがレコード大賞獲得のために、バーニングを通して一億円払ったという疑惑についてのスクープ記事を書いたらしい。そのこと自体をうんぬんするつもりではないんだが…
河童が出てくる小説を書いていて、それは芥川龍之介の『河童』のパロディでもあるわけだけど、知識が「芥川の河童」ばかりというのも、あまりに怠けているようだから、他の『河童』も読んでみようという我ながら殊勝な心がけである。いや事実は「芥川の河童…